ここでは、電子回路でもっとも大切な電源とグランド
に関連する工作、設計ノウハウを説明します。
【回路図中の記号】
回路図の中で表現はされているが、明確に接続することが表現されて
いないのが電源とグランドです。
記号としては幾つかもの種類がありますが、代表的なのは下図です。
電源関連 GND FG
5V : 5Voltの電源に接続する。
VCC: 電源のプラス側に接続する。
GND: 電源のマイナス側に接続する。(グランドとかアースと呼ぶ)
FG : ケースかシャーシに接続する。(フレームグランドと呼ぶ)
【実際にはどこに接続する?】
これらに記号で表現されたものは、電源記号は電源のプラスへ、
グランド記号は、電源のマイナスへ接続されることになっています。
【ICの電源とグランドは?】
ディジタルICやオペアンプで良く使われるICの場合には、接続ピン
番号が決まっているので、回路図に特に描かない事もしばしば
あります。この様な場合にはパターン図を描く時には忘れない様に
注意が必要です。
【グランドと誤動作】
単純に接続すれば正常に動作する訳ではないものにグランドがあります。
これは良くノイズ対策の本で説明されているのですが、グランドは電子
回路のすべての基準になります。完全にゼロボルトの電圧でなければ
なりません。
ところが、例えば、下図の様に細い線やプリント板の細いパターンの時、
A点からグランド基準点(電源のマイナス端子に当たる)に向かって大
電流が流れると、そこの配線やパターンで電圧降下が発生し電位差
(つまり電圧)が発生してしまいます。
そうすると、B点の様に、同じグランドとして接続されているにも関わらず、
この電位差のために、0ボルトで無いところが発生してしまいます。
その結果、回路が正常に動作せず誤動作することも起こり得ることに
なります。これがグランドに関連する問題で、これを避けるにはグランドは
「太く短く」が基本です。プリント板であれば、電源のパターンは「幅広く
短く」ということになります。
難しくいうと「インピーダンス」を低くするということになります。
もう一つの解決方法は、「1点アース」です。
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【1点アースって?】
「1点アース」という言葉も良くいわれます。これは上記と同じことなの
ですが、一寸違うのは、誤動作だけでなく低周波回路や高周波回路での
「ノイズ」に関連していることです。
これは大電流が流れる訳ではないのですが、グランドに流れる電流が
変動すると、それにより発生する微少なグランド電位も変動するため、
アンプの様に増幅度が高い回路の時には、本来の信号の雑音となって
増幅され現われます。
これが特にオーディオ回路などのノイズとして良く頭を悩ます問題です。
これを避けるには、電位差が生じないように、グランドとすべき点を
短距離でかつ、1点で結び電位差が互いに影響しないようにすること
です。これが「1点アース」と呼ばれる配線方法です。
下図の様に、A点も、B点もグランド基準点から独立に配線されていると、
A点からの電流による電位差は、B点には全く現れない事になります。
但し、これが言えるのはグランド基準点が確実に0ボルトを保っている
場合です。このためには、外部変動に対して安定した供給が出来る
電源を使う必要があります。