DCモータの基礎


【DCモータとは?】

DCモータとは、固定子に永久磁石を使い、回転子(電機子)に
コイルを使って構成されたもので、電機子に流れる電流の向き
を切り替えることで磁力の反発、吸引の力で回転力を生成させ
るものです。
早い話が模型やミニ四駆、ラジコンに使っているモーターです。


 マブチの模型用DCモータ
 RE280
 安価で力もあり使いやすい

一般にDCモータは回転の制御がし易く、制御用モータとして
非常に優れた特性を持っているといわれます。
それではどんなところが優れているのでしょうか?


【DCモータの特性】

DCモータの特性として下記が特徴的なことです。

 (1)起動トルクが大きい
 (2)印加電圧に対し回転特性が直線的に比例する
 (3)入力電流に対し出力トルクが直線的に比例し
  かつ出力効率が良い
 (4)低価格

制御性の良さを実際の特性でみると下図の様になります。



 (1)T-I特性(トルク対電流)
  流した電流に対して、きれいに直線的にトルクが比例する。
  つまり大きな力が必要なときは電流を沢山流せば良いという
  ことになります。
 (2)T-N特性(トルク対回転数)
  トルクに対し回転数は直線的に反比例する。
  これによれば、重いものをまわす時はゆっくり回るという
  ことで、これを早くまわすには電流を沢山流すことが必要
  ということになります。
  またもうひとつ印加電圧に対しても比例し、図のように平行
  に移動させたグラフとなります。

 これら2つの特性は互いに連動しているので、3つの要素は
 このグラフから関係づけることが出来ます。
 つまり、これらの特性から分かることは、回転数やトルクを
 一定にする様な制御をしようとした時には、とにかく電圧を
 制御すれば両者が制御できることを示しています。
 これは制御回路や制御方式を考える時非常に単純な回路や
 方式で出来るということになります。これがDCモータが制御
 し易いと言われる所以です。


【DCモータの欠点】

DCモータの欠点として大きいのは、その構造上ブラシとコミュ
テータによる機械式接点があることです。
これによる影響は、転流時のスパーク、回転騒音、寿命という
形で現われます。
また、マイコン制御をしようとした時は、「ノイズ」という形で現わ
れて来ます。従ってこのノイズ対策が唯一の課題ということに
なります。

このノイズ対策のためには下図の様に各端子とケースの間に
0.01μF〜0.1μF程度のセラミックコンデンサを直付けします。
これで整流子で発生するスパークを吸収し、ノイズを抑制する
ことができます。

 
 DCモータのノイズ対策には
 コンデンサをケースと端子間
 に直付けする。コンデンサの
 リードは出来るだけ短くする

【DCモータの規格実例】

我々が電子工作で使うDCモータは、ほとんどがマブチのモータ
だと思います。
このモータの特性は下表のようになっています。
選択の基準は適正負荷時のトルクと回転数の大きさになります。
つまりどれぐらいの重さのものを、どれだけ速く動かすかという
ことが、モータを選択するために必要だということです。

《マブチDCモータ規格表》 マブチカタログより

モデル名

規定電圧

無負荷時

最大効率時(適正負荷)

起動時(停止時)

適正

標準

回転数

電流

回転数

電流

トルク

トルク

出力

トルク

トルク

電流

V

V

r/min

A

r/min

A

g・cm

mN・m

W

g・cm

mN・m

A

FA130RA

1.5-3.0

1.5

9100

0.20

7000

0.66

6.0

0.59

0.43

26

2.55

2.20

3.0

16400

0.23

13200

0.95

8.5

0.83

1.15

44

4.31

3.92

RE140RA

1.5-3.0

1.5

8100

0.21

6100

0.66

6.5

0.64

0.41

28

2.74

2.10

3.0

14200

0.25

11200

0.98

10

0.98

1.15

53

5.19

3.87

RE260RA

1.5-30

1.5

6300

0.16

5000

0.64

10

0.98

0.51

50

4.90

2.56

3.0

12300

0.20

10100

0.97

15

1.47

1.55

90

8.82

4.73

RE280RA

1.5-3.0

1.5

4600

0.12

3700

0.53

11

1.08

0.42

62

6.08

2.30

3.0

9200

0.16

7800

0.85

20

1.96

1.60

130

12.7

4.70

RE280SA

1.5-4.5

3.0

7100

0.16

5900

0.88

26

2.55

1.57

170

16.7

4.80

4.5

10400

0.19

8900

1.15

34

3.33

3.10

240

23.5

6.90

RS540SH

4.5-12

12

17500

0.95

15100

5.93

325

31.9

50.3

2350

230

37.0

【モータの選択法】

実際のモータはどうやって選べば良いのでしょうか。
これには、上表の中のトルクと回転数を基準にして選択します。
実際の選び方を次のページで求めます。
  



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