PICクラブ 第44回情報交換会


【第44回情報交換会概要】


開催日時  2013年 1月12日(土) PM1:00〜PM5:30
開催場所  川崎市総合福祉センター(エポックなかはら)
      7階 第3会議室

【まとめ】 

 正月明けて間もなくで3連休初日にも関わらず、大勢の方々の参加をいただきました。
ありがとうございます。今回も多くのレベルの高い作品の発表がありました。

《スナップ》







【講義】

1.Roving Networksの無線モジュールの紹介 : 後閑

最近マイクロチップ社が買収したRoving Networksという会社が販売していた
WiFiとBluetoothのモジュールの紹介とそれを使った作品のデモを行いました。
WiFiモジュールもBluetoothモジュールもこれまで国内で入手可能な製品より
大幅に安く、しかも1個から個人でも買えるようになりました。
 解説資料はクラブ会員の方はSkyDriveからダウンロードできます。

紹介した作品は下記となります。

(1) ワイアレス百葉箱

温湿度、気圧、照度を測定しWiFiで無線送信
する。
パソコンとアドホックモードでWiFi接続し、
パソコン側のアプリで表示する仕組みです。



(2) ワイアレス周波数特性測定器
 
以前にUSB接続でタブレットと接続していたものを
Bluetoothモジュールで無線接続とした。

正弦波出力はDDSで、レベル測定はログアンプを
使用した。
PICはBluetoothとの接続は単純なUARTでよいので
PIC16F1829で十分


測定器自身の周波数特性
出力アンプの周波数特性が良くなったので
ほぼ10Hzから10MHzまでフラットな特性となった。



(3) ワイアレスオシロスコープ

これも以前USBでタブレットと接続していたものを
Bluetoothでワイアレス化したもの
PICに最新デバイスのPIC24EP256MC202を使って
60MIPSで動作させたので、1MspsのA/D変換にも
余裕で対応できました。


20kHzの正弦波を表示したところで、きれいな
正弦波で表示できました。
100kHz程度までは使えます。
4kバイトのデータを一気にBluetoothで受信
してグラフィック表示しています。


【作品紹介】

1.基板露光用「UVクレーン」  :横田さん

プリント基板の露光を小型の捕虫器ランプで大きな基板もできるようにということで
自動で露光ランプを移動してむらなく露光できるようにしたもの。

露光ランプがクランプ上を左右に移動して
基板全体がむらなく露光できるようにした


解説書「UVクレーン」


移動はパルスモータと6φのねじを使ってナットを
移動させることで実現
パルスモータと6φのねじの接続部を3Dプリンタで
製作したとのこと
パルスモータ1回転で1mm移動するようになっている


継続研究課題の低周波地震の早期検出で今回は
疑似地震波の生成装置

数回に渡って開発経過を報告していただいている
低周波地震の早期検出を目的とする装置の開発
です。

今回は疑似的に0.25Hzから数Hzの地震の振動を
実際に生成する装置の紹介でした

アクリルでできたカムの回転で、正弦波上の上下
振動が上側の歯車に生成されます。
このアクリルの加工にはレーザープリンタを使った
とのこと。時間貸しのプリンタがあるそうです。




パルスモータとその制御部です。



2.照度計 : 吉田さん

なかなか絶対値を得るのが難しい照度の計測を、浜松ホトニクスのカラーセンサ
の特性をうまく利用して作ることができたとのこと。
使用センサはS9706でこのGREENのセンサが照度に比例していることを利用


電池にはリチウムイオン電池を利用
これから3Vを生成



5V仕様の液晶表示器を3Vで動作させるため、
PICのクロック出力を整流してマイナス電圧を
生成し、それを液晶のバイアス電圧として加える
ことで、実質5V動作とすることができ、3V電源でも
動作するようにできたとのこと



3.簡易スペアナ+オシロスコープ+ロジアナ : 笠木さん

低周波地震観測で、極低周波の周波数分析ができるようにしたスペクトル
アナライザです。DDSなどを使わず、通常のPICでできるようサンプリング方式
を工夫しています。



スペクトル分析だけでなく
オシロスコープ、ロジックアナライザとしても
動作します。

液晶表示器には安価なカラーグラフィックのもの
を使っています。
PICにはPIC18F88を使っています。




4.電子ブロックと1弦ギター : 松元さん

PICのNCOモジュールで周波数を出力し、その周波数を導電糸を使って可変する
ようにしたものです。導電糸を可変抵抗として使っています。
昨年開催された「Makers Faire Tokyo 2012」に出展して好評だったとのこと。

電子ブロック本体
今回のコントローラはブロック1個できてしまった
とのこと。


これが1弦ギター本体
導電糸でできた弦を鉛筆の先で触れると位置に
応じた音階が出力される


5.低消費電流化のノウハウ : 斉藤さん

お仕事で定電流化をしなければならなくなり、本気でPICの低消費電流化を行った。
そのときのノウハウを紹介していただいた。

一番効いたのは、PIC内蔵のレギュレータを
使わず、外部電源で直接駆動するようにした
こと。

WDTによる高信頼化とスリープ中の高信頼化
で悩んだとのこと。



6.ステッピングモータコントローラ : 平峯さん

TQFPの自動はんだ付け装置を自作するという壮大な計画の元に、まず
製作したステッピングモータコントローラです。
中心となるコマンドコントローラの先に複数台のモータコントローラが
接続されて動作する仕組みになっています


左側がコマンドコントローラで
パソコンからのコマンドに元づいて
モータを制御する
右側はモータコントローラでモータ
の駆動部になります。


7.電磁コップで音楽を奏でる : 赤井さん

いつも芸術家らしいユニークな作品を紹介してくださります。
今回も、ちょっと普通の発想ではない作品でした。

作品の構想を説明している赤井さん

MIDIで音を出力するタブレットの先に
コントローラがあり、そこからコップの
側面につけられたコイルを駆動します。
音楽の音階ごとに別々のコイルを駆動
するようになっています。


コップの中には、帯磁した針を浮かべてあり
コイルに電流が流れると針が移動してコップの
側面にぶつかると音となって出ます。
おとの音色はコップの水の量で変わりますが
音程を決めないで、ランダムな音になるように
するとのこと。このコップを会場に100個以上
ならべて音を出すという計画とのことです。



8.トーキングテスタ : 川口さん

前回の作品のバージョンアップ版で、A/Dコンバータにマイクロチップの
デルタシグマA/Dコンバータを使って改良したとのこと





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