PICクラブ 第41回情報交換会


【第41回情報交換会概要】


開催日時  2012年 3月17日(土) PM1:00〜PM5:30
開催場所  川崎市総合福祉センター(エポックなかはら)
      7階 第3会議室

【まとめ】 

あいにくの雨にもかかわらず大勢の参加をしていただきました。
今回はマイクロチップジャパン主催のPIC10Fコンテストの表彰式がありました。
なかなか力の入った20作品の応募から8名の方が入賞されました。
今回はそれらの作品の発表を中心にして行いましたが、時間不足で全部は
発表仕切れませんでした。次回続きをすることにします。

《スナップ》




【コンテスト表彰式】

マイクロチップジャパンの渡辺さんから、8名の入賞者に表彰と賞金、賞品が
手渡されました。
入賞者、作品は下記のようになっています。

第1位 菊池 一行氏  太陽電池を使った鉛蓄電池充電器
第2位 黒田 守宏氏  136kHz帯を使った無線絵文字送信機
第3位 笠木 信司氏  小型、省電力の火災報知器
入賞  小島 秀夫氏  ラーメンタイマ
     大和田和人氏  口臭チェッカ
     平峯   晶氏  ステッピングモータコントローラ
     横田 哲平氏  光モールス信号による温度計
     桂山 元希氏  mTouchによる電子楽器
参加賞 小島氏  亀田氏  西村氏 藤森氏 松元氏 小野寺氏
      (参加賞はPIC内蔵のSchick電動髭剃り)

 1位 菊池氏              2位 黒田氏              3位 笠木氏




【講義】

1.MPLAB X IDEの使い方  後閑

最新の開発環境であるMPLAB X IDEが正式リリースされましたので
その使い方を実際に実行させながら解説しました。
このとき使った説明資料のダウンロードURLを会員の方に送付しました。
早めにMPLAB X IDEに乗り換えてください。

【作品紹介】

1.太陽電池を使った鉛蓄電池充電器 : 菊池さん

太陽電池から鉛蓄電池を充電する装置で、MPPT方式を使って最も効率よく
充電できるようにした。100Wの大型太陽電池から80kVAという大容量蓄電池を
充電する装置で、少ないPIC10FのI/Oと内蔵モジュールを上手く利用して
実用的な装置となっています。
DC/DCコンバータをPIC10Fで構成し、変換効率88%という高効率を達成
MPPT方式により単純に接続して充電する場合に比べ、8%の効率アップを達成

実際に使用した太陽電池
100Wとかなり大型です。
22V 6A規格の太陽電池



DC/DCコンバータ方式の充電コントローラ
本体でPIC10Fがメインコントローラとなって
いる。
これで入力電圧、電流、出力電圧を計測
しながらCWGでFETのスイッチング制御も
実行している。
回路図は下記




2.長波無線による絵文字送信機 : 黒田さん

アマチュア無線の136kHz帯を使った絵文字の送信機です。内蔵モジュールをフル活用
しています。
・NCOを使って136kHzで分解能5Hzのキャリアを生成し変調も実行
・CWGで送信段のFETを駆動しデッドタイムでスイッチングを最適化
・CLCを使って外部クロック入力ピンを変更
・内蔵温度センサで温度管理をし発熱時には一時停止

非常に簡単な構成でできています。
Xtal+PIC+FET+コイル+アンテナ
と回路図どおりの構成です。
回路図は非常に簡単で下記となります。





受信しPCで処理した画像が下図となります。数秒で1ビット受信ですから、かなり
ゆっくりと表示されていきます。




3.小型省電力の火災報知器/Dクラスアンプ/電子風鈴 : 笠木さん

(1) 火災報知器
PIC10F内蔵温度センサで規定温度以上でランダムなメロディのアラーム音を鳴動
常時スリープで256秒ごとの温度検出時のみ動作
NCOによりランダムな音階を生成しCWGでスピーカ駆動
全体外観と回路は下記。PIC+FETという構成



内部構成
左端の壁にPICを沿わせて外部温度を検出
バッテリはコイン電池


(2) Dクラスアンプ
PIC10Fで構成したDクラスアンプです。アナログ入力をA/Dコンバータで入力し
それをPWM+CWGで出力しFETでスピーカを駆動しています。

A/Dコンバータが8ビットなので
音質はいまいちとのこと

(3) 電子風鈴
PIC10Fを2個使った変わった方式の風鈴です。ケース内部と外部の気流の差による
温度差を利用して、NCUの音色を変えています。

2個のPIC10Fをパルス列で接続
外側PICからNCOを使って温度をパルス列で送信
内部側のPICで受信し、パルス数から温度を求め
自分と比較して音階に変えて出力
「春の小川」のメロディにしているとのことですが
そうは聞こえませんでした。
回路図は下記。


4.PICメロディー演奏器 : 西村さん

NCOを使った音楽演奏装置
基本音符の出力方法を決め、あとはデータとして楽譜内容を記憶させて演奏します。
音の出し方を連続でなく、950ms出力+50ms休止というようにするとメロディの
歯切れがよくなってしまりのある演奏になるとのこと。確かに意外ときれいに
聞こえました。
512ワードの中に「ふるさと」と「春の小川」の2曲の唱歌を入れるため、アセンブラで
開発したとのこと。
PICから直接の出力であるため、アンプ付きの外部スピーカが必要なので、
次のチャレンジはD級アンプにすることとか。

基板右上にFETが見えるが
D級アンプにチャレンジしたが失敗した
とのことでここは未完成


5.ステッピングモータコントローラ : 平峯さん

XYテーブルの自作を目指して製作したステッピングモータコントローラ
PCからUSBで制御データを受信し、それから本ステッピングモータコントローラで
モータ駆動用パルスを生成し、後段のドライバでモータを駆動します。
正転、逆転切り換え、ステップ制御、レート制御、加減速、同期、リミットなど多くの
制御をPIC10Fで実行、メモリを100%使用しているとのこと。
USBコントローラと複数のモータコントローラ間をマンチェスタ方式のシリアル通信で
接続し、それぞれのモータコントローラとの通信にかかった時間を計測してPICの
クロック周波数のずれを検出し、モータの同期を正確に合わせられるようにしています。

基板は左から、USBコントローラ(PIC18F2350)
モータコントローラ×2(ケーブルの先の小型基板)
ドライバ×2 モータ本体

モータコントローラの回路図は下記




6.ラーメンタイマ/LED温度計/フルカラーLED温度計 : 小島さん

(1) ラーメンタイマ
ラーメンカップの上において温度センサで感知し、3分の時間を経過後
アラーム音で知らせます。

PICは基板裏側に表面実装
この基板のままカップラーメンの
蓋の上に置きます。
電池の重みでPICが蓋に接触する

基板はFusionPCB社に発注して作成

(2) LED温度計/フルカラーLED温度計
  写真左側は8個の表面実装LEDで8段階の温度を表示する。USB接続して電源供給
  写真右側はフルカラーLEDの色で温度を表示する。

とにかく小さな基板を作ってみたかった
とのこと

7.光モールス信号による温度計 : 横田さん

室外の温度を計測しながら光によるモールス信号で温度を送信する。
いわば人間がリモコン受信機となる。

PIC10の内蔵温度センサで温度を計測
させるため、電圧調整に苦労したとのこと
センサが電圧に敏感に反応するため。



昔製作した同様の温度計
10ビットA/Dと温度センサICなのでこちらは
高精度

8.フットマウス : 加藤さん

ずっと開発を継続中の足で操作するフットマウス
USB接続が完成し製品化したものを紹介、量産し販売を開始するとのこと

左側は2連、右側は単連




PIC18F14K50でUSB接続
複合USBデバイスとして任意の
パソコンで使えるように工夫





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