液晶表示器の使い方


【液晶表示器の課題】

マイコンで液晶表示器を使うケースは非常にたくさんあります。
この液晶表示器を使う場合の課題としては下記の2つがあります。

(1) コントローラ内蔵の液晶表示器は電源が 5V のものが多い
 最近のPICなどのマイコンは電源が3.3V系になってきていて
 単電源で処理できない

(2) コントローラ内蔵の液晶表示器の消費電流は、2〜5mA
 バッテリ動作させるような場合にはこの消費電流は多すぎる。

【解決策】

【電圧問題の解決方法】
 電圧問題の解決方法には、下記のような方法があります。

(1) 3.3V動作の液晶表示器を探す
  これは解決策とはいい難いですが、最近では3.3Vで動作する
  液晶表示器も市販されるようになっています。

(2) 簡易なDC/DCコンバータを組み込む
  PICマイコンにはPWM出力ができる機能がありますから、これを
  交流電源として使い、倍圧整流して5V電源を生成します。
  または、マイナス電源を生成して液晶のコントラスト電源とする方法
  もあります。
  例として、倍圧整流する方法は下図のようにすればできます。
  電圧はPWMのデューティ比を設定変更して調整します。
  ダイオードにはショットキーバリアタイプの順方向電圧の低いものを
  使えば効率が良くなります。






【消費電流の課題の解決方法】

(1) 液晶表示器の電源をPICから供給する
 液晶表示器の消費電流はほとんど内蔵コントローラICで消費されています。
したがって、このコントローラ内蔵タイプを使う限りこの消費電流を減らすこと
はできません。
しかし、常時表示する必要がない場合には、上図のように簡易DC/DC電源
とするか、PICも5V電源の場合には、PICのピンから直接液晶表示器に供給
するようにします。
PICのピンは25mAの供給能力がありますから、こうしても十分液晶表示器の
電流を供給できます。
これで、いつでも電源をオンオフできるようにすることが可能となりますので
表示不要な間は電源をオフとすれば消費電流を大幅に減らすことが可能です。
ただし、電源オンにするつど、液晶表示器の初期化を実行する必要があります
ので注意が必要です。


(2) 液晶パネルを使う
 根本的な解決方法は、コントローラを内蔵していない、液晶パネルだけの
ものを使う方法しかありません。
市販されている標準的なものでは、7セグメント式の数字表示のものしか
ないようで、それ以外の表示が欲しい場合には特注せざるを得ないようです。

液晶パネルの制御は、下図のような液晶制御モジュールを内蔵したPICが
ありますのでこれを使えば制御が可能です。
この制御方法とすれば、数μAレベルで液晶表示器を常時表示させられます。
下図でSegsとあるのが、制御可能なセグメント数で、4つのコモンでスキャン
しますので、PICのピン数としては1/4となります。
つまり、96セグメント = 24セグメント制御ピン×4コモン ということになります。



【液晶パネルの制御】

 実際に市販されている液晶パネルとしては、下図のような測定器タイプ
のものと、数字だけのものがあります。

上記の製品例のような場合には、コモン端子が1つしかありませんので
制御方法としてはスタティック方式しかできません。
したがって、上例の表示器の場合には、全部のセグメントを使うためには
29セグメント必要ですので、116セグメント以上の制御が可能なPIC
マイコンを使う必要があります。

スタティック駆動とすると、セグメントには下図のような電圧が加えられます。
液晶パネルに直流電位を加えると壊れますので、常時交流を加える必要
があります。
そして反射型の液晶パネルの場合には、下図のSEG0の場合が黒い表示
セグメントとなり、SEG1の場合が透明な表示となります。
このスキャン制御はすべてPIC内蔵の液晶表示制御モジュールが実行し
ますので、プログラムとしては初期設定と、表示する数字の設定だけで、
常時は何もすることはなく、スリープ状態でも構いません。
スリープ中も液晶パネルのスキャン制御は継続されます。