レギュレータ


【内蔵レギュレータ】

最近のPICマイコンは、コアの動作電圧が、2.5Vとか1.8Vと低くなっており
電源電圧は、最大3.6Vとなっています。
このギャップを埋めるためレギュレータを内蔵して、電源電圧からコア電圧
を生成しています。

このレギュレータ自身の消費電流がどれくらいかというと、データシートから
推定して 約3.2μAで、電圧降下は約0.2Vとなっています。 
Sleep中にはこの消費電流は無視できない値となります。

また、低消費電流化をする場合、電源電圧を低くしますから、場合によっては
このレギュレータを使わなくても良い場合もあります。

電源電圧が通常の場合でも、レギュレータをオフとして使わないようにするには、
下図のような回路で実現できます。

また電源電圧をVDDCOREの範囲(2.2V〜2.7V)とすれば、VDDとVDDCOREを
直結して使うことも可能です。
このような使い方とすれば、レギュレータ自身の消費電流をゼロにできます。


【外付けレギュレータ】

外付けのレギュレータを使って電源を生成する場合にも、レギュレータ
自身の消費電流が少ない製品を選択することが重要です。
例えば、マイクロチップ社の製品で比較すると、下記のような差異があり、
明らかに差があります。

品名 消費電流 出力電流 電圧降下
内蔵レギュレータ 約3.2μA --- 約0.2V
MCP1826 120μA 1A 0.2V
MCP1825 120μA 500mA 0.2V
MCP1802 25μA 300mA 0.8V
MCP1700 1.6μA 250mA 0.3V

低消費電流とするためには、MCP1700などの低消費電流のレギュレータが
必須となりますが、それでもこの消費電流が無視できないような、
特に極低消費電流とする場合には、レギュレータを省略して、
バッテリなどから直接供給するようにして、レギュレータによる無駄な
消費電流を削減します。

【リセットICの使い方】

このようにバッテリから直接供給とする場合には、電圧が下がってきた時、
異常動作をしないように、バッテリ電圧を監視して一定電圧以下となった
場合にはリセット状態にするなどの対策が必要となります。

このための機能としてブラウンアウトリセット(BOR)機能がPICに内蔵されて
いますが、BORのスレッショルド電圧が監視したい電圧より高い場合には
BORを使うことができません。

また、BORモジュールそのものも40〜80μA程度の電流を消費しますので、
これも電流を増加させる一因となります。

このような場合には、外付けの「リセットIC」と呼ばれる製品を使用して
対策します。例えばマイクロチップ社のシステムリセットICには下記の
ようなものがあります。
これを使えば、このIC自身の消費電流が1μAと非常に少なくなっています
のでこのICを追加したことによる消費電流を少なく抑えることができます。

品名 出力形式 監視電圧 電源電圧 消費電流
MCP102 プッシュプル 1.9V
2.3V
2.6V
2.9V
3.0V
4.4V
4.6V
1.0V

5.5V
1μA
MCP103
MCP121 オープンドレイン
MCP131

このICを使う場合には、下図のような接続回路で使います。
この回路はICSPでMCLRピンを使うことを前提にしてしている場合で、
1kΩの抵抗でICSPの場合に加えられるVPP電圧によるMCP121への
影響を回避しています。